はるまきパンダの徒然日記

日々の暮らしに彩りを。

春樹ワールド

村上春樹色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」。

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村上春樹は大好きな作家なので、

家に20冊ほどコレクションがあります。

この作品は発売直後に読んで以来の再読。

 

話の内容は、村上ワールド炸裂!という感じで、

それはもう言わずもがなですが、

彼の作品独特の厭世観と、

それでも生きていかねばならぬという意志が、

良いバランスで存在していると思いました。

人間の内面がそっくり切り取られ、

象徴化されたような、そんな印象です。

 

ここで特に心に残った一節を。

〜〜〜〜〜

魂のいちばん底の部分で多崎つくるは理解した。人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繋がっているのだ。悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない赦しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。それが真の調和の根底にあるものなのだ。

〜〜〜〜

 

…なんと豊かな文章!!

あらすじの面白い話を書く作家は数多いるけど、

文体が美しい作家というのは

本当に稀有な存在だな〜としみじみ。

いつまでも生きて書き続けてほしいです…