春樹ワールド
村上春樹は大好きな作家なので、
家に20冊ほどコレクションがあります。
この作品は発売直後に読んで以来の再読。
話の内容は、村上ワールド炸裂!という感じで、
それはもう言わずもがなですが、
彼の作品独特の厭世観と、
それでも生きていかねばならぬという意志が、
良いバランスで存在していると思いました。
人間の内面がそっくり切り取られ、
象徴化されたような、そんな印象です。
ここで特に心に残った一節を。
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魂のいちばん底の部分で多崎つくるは理解した。人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繋がっているのだ。悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない赦しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。それが真の調和の根底にあるものなのだ。
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…なんと豊かな文章!!
あらすじの面白い話を書く作家は数多いるけど、
文体が美しい作家というのは
本当に稀有な存在だな〜としみじみ。
いつまでも生きて書き続けてほしいです…