悪人
吉田修一「悪人」。
あらすじはAmazonより。
福岡市内に暮らす保険外交員の石橋佳乃が、
携帯サイトで知り合った土木作業員に
殺害された。
佐賀市内に暮らす馬込光代もまた、
何もない平凡な生活から逃れるため、
出会い系サイトへアクセスする。
そこで運命の相手と確信できる男に出会えた
光代だったが、彼は殺人を犯していた。
彼女は自首しようとする男を止め、
一緒にいたいと強く願う。
その一方で、被害者と加害者に向けられた
悪意と戦う家族たちがいた。
誰がいったい悪人なのか?
事件の果てに明かされる殺意の奥にあるものは?
(※ここから先はネタバレ注意です)
「出会い系サイトで知り合った殺人犯と逃げる」
という設定の奇抜さにも関わらず、
これは純愛だ、と思いました。
ラストシーンは、
官能的とすら言えるかもしれません。
余韻がすごいです。
簡単に人と繋がれる今の時代、
裏切られるのも簡単です。
それでも他者と関わらないと生きていけないのは
人間の美点であり、弱さである。
そんなことを考えた作品でした。