湖
久々にひとりで実家に帰りました。
父、母、妹とマネケンのワッフルを食べ、
母の手料理をいただきました。
ピアノを習いたいと言ったときも、
大学で音楽系を学びたいと言ったときも、
男の人と暮らすと言ったときも、
音楽はやめてSEになると言ったときも、
いつも「あなたが決めたことなら」と
黙って背中を押してくれた母。
強い言葉で鼓舞したり、泣いている時に慰めたり、
仰々しいことは何もしないけれど、
遠くで見守り、帰る場所をあけておいてくれる母。
今日もいつもと変わらず、
他愛もない話をして、テレビを見ていました。
何も聞かれないし、アドバイスもありませんでした。
でも、帰り際にひと言だけ、
「ひとりでも、ふたりでもいいから、
またいつでも帰ってきてね」と。
湖のように蒼く、深く、静かな愛に涙しながら
ひとり、夜の道を歩いて帰りました。