太宰のリズム
太宰治「斜陽」。
上流階級の没落を描いた作品。
言葉のリズムが良いと思いました。
「生まれて来てよかったと、ああ、いのちを、人間を、世の中を、よろこんでみとうございます。はばむ道徳を、押しのけられませんか?」
「生きている事。生きている事。ああ、それは、何というやりきれない息もたえだえの大事業であろうか。」
「私生児と、その母。けれども私たちは、古い道徳とどこまでも争い、太陽のように生きるつもりです。どうか、あなたも、あなたの闘いをたたかい続けて下さいまし。」
など。
文章の至る所から漂う死への憧憬や厭世観は、
さすが太宰節!という感じですね。
命と引き換えに生み出された傑作。
芸術の神髄を見せられている思いです。