細雪
あらすじはWikipediaより。
1936年秋から1941年春までの大阪の旧家を舞台に、4姉妹の日常生活の悲喜こもごもを綴った作品。上流の大阪人の生活を描き絢爛でありながら、それゆえに第二次世界大戦前の崩壊寸前の滅びの美を内包し、挽歌的切なさをも醸しだしている。
当時の美的価値観が、存分に発揮されている作品。
内田樹の解説が秀逸だったので、引用します。
「いかなる政治的主張も含まないこの小説は、それにもかかわらず、陸軍省報道部の発禁処分を受け、私家版の頒布さえ禁じられた。おそらく検閲官は『細雪』の全編の行間から流れ出る「日本における『よきもの』はことごとく不可逆的な滅びのプロセスのうちにある。だから私たちの最優先の仕事はそれを哀惜することである」という谷崎の揺るぎない作家的確信に、一種の恐怖を感じたのだろうと思う。」
谷崎潤一郎という作家がより好きになりました。
彼の文章は本当に美しいです。